スタッフ等に「10年後のパチンコ業界(および自社)」を語れますか?
シニアコンサルタント 奥野 倫充
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今回のコラムでは、スタッフや取引先から「10年後、20年後のパチンコ業界(および貴社)ってどうなるんですか?」という質問を受けた際の回答案についてご提案できればと思います。
根拠のない楽観論の発信は避けるべきですが、逆に悲観論一色のネガティブ発言も避けるべき。
ネガティブ発言をする経営者が指揮をする企業様には、周囲からの応援は得にくいですからね。
パチンコ業界というのは、ネガティブな話題が先行しがち。
しかし、皆様におかれましては、なんらかの理由があり、パチンコ業界に貴重な時間を賭けていると思います。
皆様の人生という最も大切なものを賭けているならば、なるべく前向きな時間の過ごし方をしたいものです。
そんな一助になれば幸いに思います。
目次
1.パチンコ業界は本当にネガティブ要素だけ?
パチンコ参加人口低下。
店舗数減少に歯止めがかからない。
以前に比べて儲からなくなった。
これらはパチンコ業界関係者で語られるネガティブ要素です。
ただ、現在のネガティブ要素を下記のように俯瞰・分析している方も多いではないでしょうか?
その1 「パチンコ参加人口低下」は比較的緩やかに対して、「店舗数減少」の方が急速な印象。
近い将来、残存者利益が出るタイミングが来る可能性がある
その2 現在は、パチンコ業界バッシングが出たとき、ノーガードで打たれるしかない(例震災時、コロナ禍)。
ただ、近い将来、パチンコ業界の現状を踏まえて国政に意見してくれる政治家が誕生する可能性がある
加えて、これは私の個人的な所感ですが、監督官庁である警察庁とパチンコ業界団体各社の関係は、過去に比べて非常に良好になっているとも思えます。
以前は、対立軸しかなかった印象ですが、対話を通じて協力関係が得られるようになっている(以前に比べて)。
とても良化していると思えます。
要約しますと、パチンコ業界は冷静に見ても良くなっている。
ただ、以前のように荒っぽく儲けることはできなくなっただけ。
冷静に見ても、ひとつの産業として着実に成長をしていると感じます。
ので、どこかのタイミングで、「残っているパチンコ法人の多くが優良企業(いわゆるオイシイ業種)」になっている可能性が高いのでは?と思うのです。
2.6000軒時代に元気なパチンコ法人とは?
ただ、そうはいっても、店舗数に歯止めがかからないのは不安要素です。
また、以前に比べて儲かりにくくなっている現状もあります。
そんな現状を踏まえて「パチンコ店6000軒時代に元気なパチンコ法人とは?」を整理させていただければと思います。
その①は、「必ずしも年商規模が大きいパチンコ法人が元気とは限らない。
年商規模が小さくても財務内容が良い会社が元気である」という仮説です。
年商規模が大きくても苦戦している法人はありますし、逆に、パチンコ事業の拡大に消極的な法人でも、取引先各社の応援を得られている法人様もあります。
パチンコ店6000軒時代において、年商規模というのは安全の担保にならない。
これは間違いないのではないでしょうか?
特に「金融機関が応援してくれるパチンコ法人」というのは重要性を増すと思います。
というのも、金融機関が応援してくれているという状況は、多数の取引先各社に安心材料を与えるからです。
強いては、働き手であるスタッフの方々にも安心材料を与える要素にもなると思います。
取引先各社が応援してくれない会社では、働きたくない心理が働いて当然だからです。
逆に、金融機関が応援しないパチンコ法人への関わり方というのは、消極的にならざるを得ない。
というのも、パチンコというのは多額の設備投資が必要な事業です。
また、内部留保が豊富な会社といえども、自己資金だけでそれを担っていくのは無理があります。
パチンコ業界全体の与信が下がっている状況ですが、それでも「金融機関が応援してくれるパチンコ法人」という信用を獲得するのは非常に重要な経営努力。
その重要度が増すのが10年後、20年後・・のパチンコ業界と考えられます。
3.元気なパチンコ法人を象徴する2つの経営指標とは?
「年商規模が小さくても財務内容が良い会社」「金融機関が応援してくれる」という要素を満たすために、今一度、見直していただきたいのが「正社員1人当たり生産性」と「遊技機1台あたりの損益分岐点」という二点です。
「正社員1人当たり生産性」は年間粗利で2,000~3,000万円/人というのが目安になります。
これよりも低いと、正社員が前向きに働ける給料が支払えないパチンコ法人になってしまう可能性が高い。
正社員が活き活き働けない会社が活力を失うのは自明の理です。
加えて、「遊技機1台あたりの損益分岐点」も一度算出していただければと思います。
ただ、“遊技機投資を除く”で算出してみてください。
台粗利で1,200~1,500円/日という損益分岐点ならば比較的優秀。
台粗利2,500円/日を超えている損益分岐点となっている企業様は、少し経営努力をしていく必要があるかもしれません。
というのも、高粗利率経営が必須のパチンコ法人と、低粗利率でも事業継続ができるパチンコ法人のどちらが6,000軒時代に元気なのか?と考えると、やはり、低粗利率・・に軍配が上がると思うのです。
4.6月例会では「10年後に元気なパチンコ法人」を実現するための行動各種をご提案させていただきます
「正社員1人当たり生産性」「遊技機1台あたりの損益分岐点」という経営課題克服の方法も含めて、6月例会におきましては私自身が久しぶりに登壇させていただこうと思います。
具体的な行動レベルのご提案も含め、皆様におかれましては、10年後に元気なパチンコ法人を目指すための行動整理の機会をご提供できればと思っております。
パチンコビジネス経営研究会
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信州大学卒業後、1996年に船井総合研究所に入社。1998年より、パチンコホールのコンサルティング支援に従事。ホール企業、メーカー、販社へのコンサルティング活動を展開中。コンサルティングのビジョンは、パチンコ業界の成長発展に貢献すること。著書は『マルハンはなぜ、トップ企業になったか?』『会社の業績を10倍にする番頭さんの仕事のルール』がある。プレイグラフにて『短期ホール立て直し術』を連載中。プレミアムメルマガを週に一回配信中。