コンサルタントコラム 2020/4/22

財務対策にお困りのパチンコ企業様|パチンコ経営コンサル

シニアコンサルタント  奥野 倫充


 
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新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、
および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、
1日も早い収束を心よりお祈り申し上げます。
 
感染拡大が続く状況を鑑み、新型コロナウイルス感染症に関する当社対応としまして、
セミナーは5月末まで、経営研究会は6月末まで、ご来場による開催からWEB開催に切り替えさせて頂いております。
 
また、随時、新型コロナウイルス対策関連セミナーを実施させて頂いております。
皆様の会社経営、新型コロナウイルス感染対策の一助となれば幸いです。
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1.財務の備えは「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」で

 
緊急事態宣言を受けて、多くのパチンコ店が休業要請を受けることになりました。
一定期間、営業収入がなくなるというのは、パチンコ業のみならず、企業存続に直結する事項と思います。
 
ちなみに、先日、船井総研上海のメンバーと話をしていたのですが、
中国人は、サーズの恐怖を経験していたので、自然と外出しなくなったとのことでした。
 
そして、外を出歩くには外出許可証が要る。
官民挙げての徹底的な感染拡大協力体制もあり、
今は、少しずつ営業を再開しているとのことでした。
 
再びの感染拡大に関しては、ヨーロッパからの逆輸入を恐れている。
というのも、空路は防げても陸路が防げないだろうと。
そして、その一方で「コロナ感染のことばかり考えていると経済破綻で死ぬ人が増える」
という意見も出てきているそうです。
とてもうなずける話と思います。
 
また、コロナ感染拡大のリスクが完全に拭えないなかで、
多くの法人様が遅かれ早かれ営業再開を選択するしかないという状況になるかとも思います。
休業要請を受けての各社の対応については、緊急事態宣言明けに世論がどうなっているか?は読めないところ。
 
ただ、中国でのイチ意見もあるように、
「経済破綻でも死ぬ人が増える」という意見は、少なからず出てくるのでは?と思える次第です。
 
ワクチンが出てくるのが18か月後と言われていますから、
それまではこのような感じでコロナと付き合うしかないと読むべきです。
あらゆる業種において、さすがに18か月もの休業に耐えれる法人は皆無でしょう。
 
日々、刻々と変わりゆく動向を見守りながら、ただ、長期化することは間違いないでしょうから、
それを前提に各社様にてベストな対応をご決断いただければと思います。
 

2.手元に一円でも多く現金を置いておく

 
今回の戦いに関しては、できる限りの資金調達ができた企業が勝つ。
正直、そんな様相もあるかと思います。
 
また、新たな資金調達に限界があるならば、リスケも含めた資金繰りに全力を尽くす方が良いかと思います。
幸い、普段は、金融機関が非常に嫌がるリスケ対応ですが、
今回においては柔軟に対応してくれる場合が多いと聞いております。
 
逆に、金融機関のほうから「リスケ大丈夫ですか?」と声かけをされる法人様もあるくらいです。
リスケ相談は言いにくい企業様もあるかと思いますが、存続の方が大事です。
臆せず相談されることが良いかと思います。
 
ただ、返済計画は正常化するまで付きまといますから、時間をかけて丁寧に作るべきです。
ちなみに、返済目安は、コロナ影響下においても営業キャッシュフローの70~80%。
再リスケとならないようにご配慮されたほうが良いかと思います。
 
繰り返しになりますが、コロナの影響は長丁場になる想定をすべき。
ならば、資金繰りを「営業再開」という手段に一存するのは非常に危険です。
また、消費税や固定資産の繰り延べ納税という手段も最大活用する方が良いかと思います。
 
遊技機購入においても、遊技機リースを活用したり、納品時期を遅らせることで支払いを遅くしてもらうなど、
「手元に一円でも多くの資金が残る」ことに最大の努力を尽くす方が良いかと思います。
 
まずは、不動産差担保も含め、あらゆる手段を講じての新規の資金調達に全力を尽くす。
繰り返しになりますが、資金調達ができた法人様が勝つ様相があります。
そして、リスケ依頼も臆せず相談する。遊技機リースの活用や納期見直し。
消費税や固定資産税の繰り延べ納税。
 
ここ数か月、日々、想定以上に悪い状況に進むのが続いています。
やはり、財務面においては、ネガティブな状況を想定するべきです。
「手元に一円でも多く資金を残す」ことに全力を尽くすことが重要と思います。
 

3.「コロナ以前には戻らない」。賃貸物件の撤退判断を準備

 
また、コロナ不況長期化を見据えた重要な経営判断のなかは、既存店の撤退判断もあります。
損益計算書上で赤字出血を続けるお店を抱えてしまうことで企業全体が持ちこたえられなくなる。
「あの時、〇〇店と××店を早期撤退しておけば回復に回せる投資をもっと増やすことができた」
という可能性は大いにあり得ると思います。
 
その撤退指標として御検討頂きたいのは「自社物件or賃貸物件」という基軸。
そして、賃借料の割合です。
 
今回においては、自社物件は圧倒的に有利です。
仮に金融機関からの資金調達で取得していたとしても、
返済猶予を取り付けることができれば出血を止めることができます。
 
ただ、賃貸物件は、減額交渉はできるかもしれませんが、賃料支払いストップは難しい。
長期化するほど、賃貸物件に関しては圧倒的に不利な状況が続きます。
 
また、賃料負担の目安は粗利×15~20%となります。
4月の業績で粗利×15~20%の賃料ならば〇。
 
逆に、コロナ前で粗利×15~20%以上の賃料の店舗は早々に撤退を検討すべきと考えられます。
自社物件の店舗を展開する企業は金融機関がリスケに応じてくれればその負担は減らすことができる。
圧倒的に有利なのですが、賃貸物件は総じて撤退判断に迫られてしまうのも現実とも思えます。
 
貸借料の割合を確認する上では清算貸借対照表が有益となります。
事業を継続していく中で、事業に何らかの変調が生じその結果、経営成績、財政状態、キャッシュ・フローが悪くなることがあります。
例えば、資金繰上で、当月営業収支尻がマイナスになった、主要製品が赤字になった、減収になった、売上総利益がマイナスになった、
営業利益がマイナスになった、当期純利益がマイナスになった、貸借対照表に未処理損失が計上された、等です。
 
そのような場合に、さらにそれらが進行するとより厳しい状況になりかねません。そういった局面では、
最悪のケースを想定し、清算貸借対照表を作成し、状況判断の参考資料とすることが有益となります。
 
清算貸借対照表は、仮に現状で会社を整理・生産した場合に、株主への生産配当金・残余財産分配金はいくらなのか、
あるいは、事態はさらに悪化しており債権者にも負担をかけるほどになっているのかといった、起こりうる影響を把握することができるのです。
そこで、これを一つの目安し、事業から撤退するか、このまま継続するかの判断をする際に役立てることができます。
通常の貸借対照表は事業継続を前提に取得原価をもとに作成されているため、会社清算する場合に資産売却し、
負債を支払い、残余財産がどれくらい残るのかはわかりません。そのため撤退を決定する際には、
通常の貸借対照表でなく清算貸借対照表を作成することも参考となるかと思います。
 

4.パチンコ参加人口は何万人になる?

 
いたずらに撤退判断を煽るのは良くないと思うのですが、それでも触れたのは、コロナ以前に戻ることはない。
そう思えるからです。
 
参加人口約1,000万人と言われるパチンコ人口が、どこまで戻るのか?
いろんな人にお聞きすると、約500万人と、半減を予測される方が多いように思います。
 
コロナを機に離れてしまった高齢者が全員戻るのは厳しい。
そう予測するのが冷静なところです。
 
遊技人口半減と予測すれば、店舗数(遊技機設置台数)が半分になっても以前と稼働率は同じ。
恐らく店舗数(遊技機設置台数)が半分まで減ることはないでしょうから、稼働率が以前よりももっと下がる。
ので、遅かれ早かれ撤退すべき判断に迫られる物件は多く出てくると思います。
 
繰り返しになりますが、財務の備えは「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」が良いと思います。
ここ数か月の状況を体験した我々としては、更にネガティブな状況を想定するのはつらいですが、
向き合わなければならないところとも思います。
最大で2021年以降も続くと想定し、長期化することを見据えて備えを準備されることを強くお勧めします。
 

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担当者
シニアコンサルタント
奥野 倫充

信州大学卒業後、1996年に船井総合研究所に入社。1998年より、パチンコホールのコンサルティング支援に従事。ホール企業、メーカー、販社へのコンサルティング活動を展開中。コンサルティングのビジョンは、パチンコ業界の成長発展に貢献すること。著書は『マルハンはなぜ、トップ企業になったか?』『会社の業績を10倍にする番頭さんの仕事のルール』がある。プレイグラフにて『短期ホール立て直し術』を連載中。プレミアムメルマガを週に一回配信中。