コンサルタントコラム 2021/6/8

【М&Aコラム】M&A新規出店成功事例ご紹介

シニアコンサルタント  奥野 倫充

200台新店を出店された経営者の取り組みとは?

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1.約200台のM&A仲介支援現場より
以前、A社とB社のM&Aを仲介する機会を頂戴しました。
新規出店されたのは、合計台数約150台法人という企業規模の経営者です。
コロナ禍でお電話をいただき「新規ビジネスで不動産ビジネスをしようと思う」という相談に乗っていた折のことでした。別方面より、私に頂戴したM&A売却の経営相談案件を持ちかけたところ「前向きに検討したいので仲介してください」となったのです。
数か月の交渉期間を経て無事にM&A成立。
A社経営者は、再びパチンコ店の事業拡大路線に転換されました。

ちなみにそのお店は約200台の店舗です。一般的なパチンコ法人の方々は、興味が少ない規模の物件と思います。ただ、A社経営者は、小型店の繁盛店づくりが得意な方でした。
お店に張り付きながら、お客様の遊技環境を整えることに繊細な心遣いをされる方です。
新規事業のことを検討されてましたが、実は、パチンコ店経営が好きなのでしょう。
そして、今も、その200台新店にて、日々、試行錯誤をされています。

今日のメルマガは、そんな200台新店を出店されたA社経営者の取り組みについてご紹介致します。
というのも、4月に入り、新店の20スロジャグラーはなんと1万枚を達成したとのことでした。1円甘海も2.5万発を達成しています。コロナ禍で高齢者が減っているというのもなんのその。ある意味、びっくり事例とも思います。

2.機械代0円で20スロジャグラー1万枚達成の秘訣

そんなA社経営者の取り組みの源泉は、中小法人ならではの「ローコスト経営」実践にあります。新規出店時、設備の多くはいただきものです。例えば、椅子は、無料で譲り受けたもの。遊技機も各方面から安価で調達されていました。そして、1~3月の機械代は0円です。機械代は0円ですが、しかし、1円甘海は2.5万発。20スロジャグラーは1万枚。薄利営業を続けることで、高齢者の常連様を少しずつ増やしておられます。

A社経営者の営業方針は、結果を焦らず、じっくりと常連様を増やすことに専念する。そんな営業方針を徹底されているのですが、ただ、約三ヵ月で結果が出てきたというのはすごいと思います。
実は、新台入替を激しく行うよりも結果が早く出ているのでは?とも思えます。
そんなA社の経営をお聞きするに、大手法人が取り組む方向性は違うと思いながらも、パチンコ業界の時流適応を感じる部分もあります。
大手法人は大型化、資金力競争、多店舗化で勝負。それとは異なる次元で繁盛店を作る方法がある。大手法人の寡占化が進むほど、逆に、A社経営者のような経営手法も注目されるようになると思うのです。

3.約4,000軒の居抜き出店チャンスについて

話は変わりますが、弊社には、ここ数年、パチンコ退店物件に関するご相談が増えております。半分自虐でよくお話しするのですが、約20年前は週に一回くらいは業績アップ支援依頼のご連絡を頂いていました。ただ、ここ数年は、週に一回くらいパチンコ退店絡みの連絡を頂戴するように・・。ちなみに、昨日も某社から一年ぶりに連絡を頂戴しました。久しぶりに連絡を頂いた方から、既存店売却の相談を受けるのは、とても複雑な気分にもなります。ただ、巷のパチンコ店経営者が我々に求めているのは、パチンコ退店物件絡みであるという事なんだと思っています。以前は、「我々の領域は業績アップ支援」と受け流しておりましたが、今は、多数のご相談を頂く事業承継の経営相談に向き合い、全力を尽くしております。

今後、多くのパチンコ退店物件が出てくると思います。
約9,000軒が約5,000軒になると言われていますから、差し引きすると、約4,000軒のパチンコ退店物件が出てくるのです。ただ、言い換えれば出店候補地が約4,000軒です。
この約4,000軒の中には、A社経営者が新規出店された200台のお店もあると思います。大手法人は見向きもしない物件ですが、ただ、見方を変えればビジネスチャンスと考えられる物件がある。
そう考えると、一様に、パチンコ事業≒大型化。パチンコ事業≒大手法人寡占化。という単純な考え方に帰結するのは損とも思います。

ちなみに、A社経営者はとてもキラキラしておられます。頻繁に連絡を取り合っていますが、とても楽しそうです。
とはいえ、損益分岐点ギリギリの営業を続けておられますから、収益化はまだ先のこと。
ただ、少しずつ、お客様が増えてきていて、そして、ご自身がそのお客様とのやり取りを楽しんでおられる。一度、新規事業を真剣に考えた経験があるからこそ、そのような日々に楽しさを見出しておられるのかと思います。

4.A社経営者取り組みの再現性について

また、A社経営者に「そういえば、不動産事業をするとおっしゃっていましたよね?」とお聞きしたところ、「パチンコ店経営が楽しくて・・・」という返答を頂戴しています。
この返答もなんとも複雑。
個人的には、A社経営者が不動産事業をされることも楽しみにしていたのですが・・・。また、同時並行で、個人的には、A社経営者経営手法の再現性を追求できればとも思っています。こちらに関しては、別の機会にてA社経営者の取り組みを御提案させてください。

 

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過去【М&Aコラム】一覧

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▼「年商200億の老舗パチンコチェーン店は、なぜ、 『好調時』にM&A売却を決断したのか?」

https://funai777.funaisoken.co.jp/consul_column/line20190725/

 

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担当者
シニアコンサルタント
奥野 倫充

信州大学卒業後、1996年に船井総合研究所に入社。1998年より、パチンコホールのコンサルティング支援に従事。ホール企業、メーカー、販社へのコンサルティング活動を展開中。コンサルティングのビジョンは、パチンコ業界の成長発展に貢献すること。著書は『マルハンはなぜ、トップ企業になったか?』『会社の業績を10倍にする番頭さんの仕事のルール』がある。プレイグラフにて『短期ホール立て直し術』を連載中。プレミアムメルマガを週に一回配信中。